PSS【洛中の蝶 1】

 最近某所での夜遊びを覚えてしまい、自分を律するのに苦労しています。でも楽しいんだ・・・
 そんな間にも過去記事をたくさん読んでは拍手を下さっている方が!ありがとうございます(人´v`)*゚
 
 先日5000番を踏んだおぼえのある方はご連絡下さいと書いていたのですが、特にありませんでしたので、今回はスルーすることに致します。告知していませんでしたのでね、また6000番のときには是非よろしくお願いしますm(_ _)m

 今日はいただきもののご紹介も\(^o^)/
 卯月さんがイラストを描いて下さいましたよ!っていうか強奪した!ざっくりセーターの兄さんもそのうち描いて下さるそうですよщ(゚ロ゚щ) カモ-ン
 さあ、これでもう後には引けない(ごめんなさい)。
 【ユ・ビ・ワ狂想曲 12/25】

 えっと、本日は新しくちょっと長めのやつを始めます。一言でいうと、吸血鬼ものです。実はずいぶん前にも書こうかと思ったのですが、テーマとしてはベタだし、あちこちで書かれていたのでやめて、それで人魚の話になったのです。しかしやっぱり書いた(´д`ι) 好きなんですよ・・・吸血鬼もの・・・「ポ◯の一族」はバイブルです!!
 
 では注意事項です。
・完全なるパラレルです
・時代は大正時代末期ごろ
・なるべく史実に沿っているつもりですが、色々怪しいので時代考証的なものはないと思って下さい
・吸血鬼にも色々あると思うので、イメージと違ったら謝ります
・色々クサいですが、この厨二め!と思っていただけたら幸いです
それでは、特になんにも気にしないよ〜という勇者の方は続きをどうぞ。



【ユ・ビ・ワ狂想曲 12/25】〜【ワン!ワン!ワン 3】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪
 Yuさま、森永くんってお酒に強そうだけど、酔っ払ったら手に負えないかんじになりそうなイメージww左薬指はさすがにハードルが高いんじゃないですかねえ〜(´、ゝ`) フッ
 Haさま、大きい犬は私も怖いですwwソウくんは初めての感覚にも怯えたかもしれませんね(・∀・)次もよろしくお願いします♪



洛中の蝶


まわる まわる まわる 輪舞曲(ロンド)
過ぎ去りし日の面影のように
来たる日を待つ恋のように



 きらびやかな照明、衣装、宝石の輝き。軽やかに流れる音楽とざわめき、笑い声。
 壁に凭れていつもと同じ光景を眺め渡し、辟易して宗一は露台に目をやった。はやくこの部屋から出たい。が、まだ素面の叔父が宗一から目を離してくれそうもない。

 宗一は夜会が苦手だった。そもそも音楽にもダンスにも興味がない。その上みな顔を合わせば世辞ばかり。愛想笑いも噂話も嫌味の応酬も、何もかもが気に食わなかった。だからいつもお目付役が顔に朱を昇らせると直ちに外に避難している。
 叔父は今日は酒より色事の方が進むらしい。年増の未亡人におべっかを使っている様子をいらいらと見やったとき、入り口のほうから小さくどよめきが起こった。

「森永男爵閣下及び妹御!」
 侍従の読み上げと共にホウルに進み出た二人は、なるほど田舎の社交界には刺激的な印象を与えた。男爵は仕立てのいい夜会服を粋に着こなした美丈夫で、かなり背が高い。宗一も上背のあるほうだが、それより更に上をいった。連れの少女はここらの娘たちが溜息をつくしかないような最新流行のドレスに身を包み、上品な毛皮のケープを纏っていた。
 あまり詳しくない宗一にも、二人の出で立ちが相当質の良いものであることは容易に知れた。あるところにはあるものだ、と小さく息を吐く。

 森永男爵の噂は疎い宗一の耳にすら入っていた。東京から来た見目好く裕福な兄妹。名古屋の社交界には今夜デヴュタントとのことで、早速ハイエナどもが群がっている。これさいわいにと壁から身を起こし露台へ向かおうとしたところで、宗一は視線に気がついた。振り返ると件の男爵が自分をじっと見ている。目が合うと彼はにこやかに微笑んだ。どこかで会ったかと記憶を探ってみても、記憶力は高いはずなのに人の顔となるとからきしの脳からは回答がない。怪訝に思いながらも目礼を返し、今度こそ宗一は露台へと逃げ込んだ。

 気が重いのには他にも理由がある。昨今では華族が生き抜くのは難しい。巽家も例外ではなかった。もともと学者筋で商才には恵まれていない。母に続いて亡くなった父、成人するまで財産を管理してくれていた叔父、宗一も財産を減らしこそすれ増やすことは叶わなかった。爵位と名誉で家人は養えない。残る手段は結婚しかなかった。家柄が欲しい成り上がり貴族の金持ち娘を捕まえるのだ。一族では宗一と弟の巴のみが年頃であったが、宗一は弟を東京帝大にやりたかった。それもまた金のかかることであり、弟を送り出してしまえばもう宗一に選択肢は残らない。出たくもない夜会に足を運ぶのも、叔父が最適な相手を物色するためなのである。
 別に愛のない結婚がどうだとか、青臭いことを言うつもりはない。ただ両親の築いたような暖かい家庭は自分には持ち得ないこと、婚家を立てるために自分を曲げねばならないことがこの先どれほどあるかを考えると少し、気が滅入るだけ。

 意味もなく眼鏡のレンズをハンケチで拭き、習慣と化したような溜息をついたとき、ふと背後の明かりが翳った。
 振り返ると森永男爵が早足でホウルから出て来るところだった。ほっとしたように息をつき、宗一に笑いかける。
「やぁ、ここはいいですね。風が気持ちいい」
 露台の隅は壁に隠れて室内からは見えない。人を避けるのには確かにいい場所だった。
 社交界などと精一杯着飾って集っていても所詮は田舎者ばかり、きっと物珍しさから根掘り葉掘り探られて大変だったろう。

 宗一が身体を預けていた手摺りから身を起こして姿勢を正すと、男爵は洗練された仕草で握手を求めてきた。
「森永です。巽伯爵、お会いできて光栄です」
「失礼だがどこかで会ったか?私は人を覚えるのが苦手で無礼をしたなら申し訳ないが」
「いえお目にかかるのは初めてです。だがあなたの発表された学説に心酔している者ですよ」
「そりゃ物好きな」
 噂を聞くだに自分とは縁のない人種だと思っていたが、案外話せる相手かもしれない。
 宗一の学説というのは植物の遺伝に関するもので、個人的な興味は深いが一般受けするものでないことは重々承知している。まさか夜会でこんな話題にありつけるとは思わず、男爵は素晴らしい聞き手でもあり、普段よりも格段に饒舌な自分を自覚した頃、可愛らしい声が軽やかに割って入ってきた。

「まぁ兄さま、こんなところにいらしたのね」
 その存在をすっかり失念していたことに気付いて慌てて振り返り、宗一は目を瞬かせた。逆光を浴びて少女の顔つきがやけに大人びた……妖艶と言っていいような表情に見えたからだ。だがそれも一瞬で、少女は年相応の子どもらしい仕草で兄の無作法を愛らしく詰った。
「わたくしを一人にするなんて酷いですわ。まだ存じ上げない方ばかりですのに」
「すまない、私が兄上を引き留めたんだ」
 宗一が口を出すと、少女は小首を傾げて見上げてきた。黒目がちな瞳が白い肌に映え、欧風の装いが良く似合っている。
「悪かったよ。伯爵紹介します、妹のかなこです」
 かなこは微笑んで優美なお辞儀をした。
「では許して差し上げますわ。わたくしと踊って下さるなら」
「喜んで」
 宗一の差し出した手を取って歩き出したかなこの横に男爵が付き従う。ホウルに戻った途端、視線が集中した。ダンスの輪に滑り込みながら宗一は、少女がこのあからさまな興味の目にも臆さず堂々と振る舞う様子に舌を巻いた。緊張していないわけではないのだろう、重ねた手はひんやりと冷たかったから。

 早速取り囲まれている男爵もさることながら、この少女も結婚相手として品定めされているに違いない。叔父が目を付けなければ良いが、滅多とダンスなどしない宗一が手を取っている時点でその可能性は低い。感じの良い兄妹の気を損ねたくないものだが、と楽しげにステップを踏む少女を見下ろし、宗一はまた小さく溜息をついた。


                 →2へ


スポンサーサイト

コメントの投稿

Secret

検索フォーム
暴君時計
ゆずるさんから頂きました♪