SS【レッツバレンタインデー!】

 バレンタインデーの小ネタです。

 実はこれ、去年の今頃書いたものです。これでもう、ブログを始める前に書いたSSは全部捌けたな・・・とちょっとした感慨に耽りました。

 いつものごとくMちさまのお宅で仕入れたニュースによりますと、暴君9巻が発売されるそうですね!めでたい!.+:。(ノ^∇^)ノ゚.+:。しかしその前に、電子の6巻はどうなっておるんでしょうなジイさんや・・・



【洛中の蝶 8】に頂いた拍手コメントにお返事させていただいています。お心当たりのある方は覗いてやって下さい♪予約投稿のため、アップ時にお返事の間に合わないものもあるかもですが、その都度させていただきますね(人´口`)♪


レッツバレンタインデー!



「あの、森永さん!」
 1コマ目の講義を受けて研究室に戻る途中、女の子に呼び止められた。今日は2月14日、何の用か予想はつく。
「これ受け取ってもらえませんか……?」
 可愛い系のファッションとメイク、念入りに整えられた髪。頬を染めて上目遣いで差し出されたのはシックなリボンで包装された包み、手紙付き。普通の男なら迷わず鼻の下と手を伸ばすだろう。
「ごめん俺今好きな人……付き合ってる人いるんだ」
 だけど俺にはその攻撃は効かない。理由は”ゲイだから”じゃない。
「受け取ってもらうだけでもいいんです……」
「相手に誤解させたくないから……気持ちは嬉しいよ。ありがとう、ごめんね」
 行き場をなくした手を下ろして俯く彼女に申し訳なさそうな顔を作りながらも、こうやって断れることに喜びを感じてしまう。なんたって俺には今!恋人がいる!
 スキップしそうな足を意識して抑え、廊下を早足で歩く。
 先輩がチョコレートをくれるなんてことはこれっぽっちも期待してないけど俺はばっちり準備をしていて、先輩の好物が並んだ食卓とカカオ84%のビターチョコ、チョコは苦いけど夜は甘い……なんてああ!今夜はイケる!

「ただいま戻りました~」
「おー、おかえり」
 ウキウキした気分のまま研究室に戻り、ふと見やると恋人の机の上には小綺麗な包みが無造作に置かれていた。その数、すでに5個。
「先輩……これなに?どうしたんですか?」
 引きつった顔で振り返る。先輩は顕微鏡から目も上げなかった。
「チョコだろ、今日バレンタインだから。貰ったんだよ。……そっちにあるサンプル取ってくれ」
 二の句が告げないまま機械的にサンプルを手渡した俺の表情を見た先輩は、あろうことかケケッと小馬鹿にしたように笑った。
「なにお前貰ってねぇの。意外とモテないんだな。ホモだってバレてんじゃねーのか?」
「おっれは断ってますよ!付き合ってる人がいるからってー!」
「はあぁ?」
 プレパラートを交換してレンズに向かう途中、俺を経由した視線には照れも甘さもへったくれも無かった。ええ、全く。
「お前馬鹿?みんな受け取るだけでいいって言うじゃねえか、断るほうがめんどくせぇよ。お前も貰っときゃいいのに、甘いもの好きなんだろ?」
 しかし"付き合ってる人がいる"発言には突っ込まれなかった。その点でやや気を持ち直す。
「なんならそれ1個やろうか?かなこにやる約束してるから全部はやれねーけど」
 そしてまた落ちる。まさか俺のもかなこちゃんにあげちゃうんじゃ……
「結構です……かなこちゃんはチョコくれたりしないんですか?」
「だって俺あんま食わねーし。酒とかくれたこともあったけど、最近未成年は買えねぇしな」
「へ、へぇ。じゃあ今は何を」
「肩たたき券」
「………」
 おそらく渡した女の子は顔も覚えられていないだろう。変な心配が要らないのはいいが、俺の期待も虚しいものに終わるに違いない。
 俺は溜息をついて天井を見上げ、恋人との熱い初バレンタインデーに別れを告げた。
「何やってんだ、はやく準備しろよ」
「はい……」


 夕食をご機嫌で平らげてくれた先輩に、俺はそれでもめげずにチョコレートを差し出した。
「なに、お前もくれんの?」
「日頃お世話になってますし……これ甘くないからきっと食べれますよ。かなこちゃんには苦すぎるかも」
「ふーんさんきゅ」
 でも今腹一杯だから、と言って開封もされなかったそのチョコレートは、しばらく夜のレポートのお供となって俺を喜ばせた。



 そして一ヶ月後、ある意味日本におけるバレンタインデーの意味を正しく把握している先輩からクッキーが贈られ、有頂天になった俺はお礼と称してたっぷり先輩にご奉仕した。先輩は二度とやらんと怒ったけど、俺はまた来年もイベントを楽しもうと思っている。


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