PSS【ぼくのせんせい】

Mちさんに捧げます。

最近乗っかりネタが多いのです私・・・そしてしばらく続く予定(´д`ι)
みなさま怒らないで下さいませね(´・ω・`)

モテ仕草イラスト待ってますщ(゚ロ゚щ) カモ-ン
待ってますщ(゚ロ゚щ) カモ-ンщ(゚ロ゚щ) カモ-ン


【完全な乗っかり記事】〜【兄さんのモテ仕草〜】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいませ〜


ぼくのせんせい



ぼくのせんせいはそういちせんせいです。せんせいはかみがながくてめがねをしています。せんせいはほかのせんせいより、おかあさんよりいちばんきれいです。ぼくは、おとなになったらせんせいとけっこんするつもりです。そうゆったらせんせいは、はやくおおきくなれってゆってわらってくれました。わらったせんせいはとてもかわいいです。せんせいだいすきです。
もりぐち てつおみ


「宗一さん、何ですかコレ」
「ん?ああ、テツがくれたんだよ。似顔絵付きだぞ、うまいもんだろう」
 理事長や園長と言っても偉ぶらない巽親子のデスクは、他の職員と変わるところもなく同列に並んでいた。ただひとつ異なるのが宗一のデスクの後ろに設置されたボードで、ここには宗一が園児からもらった絵や工作が所狭しと飾られている。もちろん日が経つにつれ徐々に入れ替わり、引き出しや箱に納められていくのだが、現在最も大きく目立つ場所に貼られているのが、件の作文と似顔絵だった。
「年長とはいえこれだけの文章を書くのは大変なんだぞ」
 誇らしげにボードを見上げる宗一が口の中で転がしているのは、園内で煙草が吸えない彼のために森永が差し入れているハッカキャンディだ。
「そういうことじゃないですよ。大きくなったら結婚するとか!宗一さんもなんできっぱり断らないんですか」
「おまえ園児相手にマジになんなよ」

 夏場は体力を使うため、全クラスでお昼寝がある。職員は寝かしつけのため職員室から出払っていた。担任を持たない宗一は降園時に配布する予定の園だよりを印刷し、クラスごとに分けて折りたたんでいる。
 今日は金曜、森永は有休を取って園に来ていた。認可とはいえ小さな個人経営の保育園はいつも忙しい。今は理事長である宗一の父がスウェーデンの保育現場を視察に行っているため尚更だった。明日珍しく土曜保育に出ない宗一とゆっくり過ごすため、こうやって手伝いに来るのは今に始まったことじゃない。保育士ではないから園児の相手は一緒に遊ぶ程度しか出来ないが、やる事は無限にあった。季節やイベントごとに行われる廊下や窓ガラスの切り絵の貼り替え、用具の手入れ、園庭の清掃。本日、森永のメインの仕事は月曜日に催されるお誕生日会の会場準備である。

 少ない男手は貴重だ。森永を労働力としてアテにしていることもあり、宗一はバイト代を出すと言ってくれるが、会社が副業禁止だからと断っている。金が欲しいわけじゃない、ただ少しでも一緒にいたいだけ、なのに。宗一が園児に向ける笑顔を見るたびに嫉妬する自分がいる。こんなに尽くしているのにと不満がでる。
「微妙に俺と名前が似てるのも気に入らないんだよな」
 テツと呼ばれている男児は明らかに森永に対抗心があり、事あるごとに目の前で宗一を独占しようとする。
「俺って心が狭いなぁぁ……」
 各クラスから回収してきたお便り帳に畳まれた園だよりを挟み込み、お休みの子の分に名前をメモする。ブツブツ言いながら作業する森永をちらりと見るにとどめて宗一がノートパソコンを開いたとき、職員室に向かってくるスモック姿の女性が見えた。

「園長先生、すみません」
 ガラスの引き戸を開けて顔を出したのは、年長クラスの副担任だった。
「テツくんが転んで大泣きしてて、宗一先生が添い寝してくれないと寝ないって言い張るんです」
 彼女はこの春入ったばかりの新任で、ベテランの担任は研修で留守だ。手に負えない、と顔に書いてある。
「すぐ行きます」
 開いたばかりのパソコンの蓋を閉じ、宗一は立ち上がると後ろの棚に載せてあったダンボール箱を手に取った。
「森永、それ終わったらこっちの箱遊戯室に持ってっといてくれ。俺もなるべくはやく行くから」
「わかりました」
 またテツか。舌打ちしそうになるのを堪えて箱を受け取った森永に、保育士は会釈をして出て行く。
 森永は続いて出て行く宗一の後ろ姿をじっくりと目で追いかけた。スモックなら隠れてしまうだろうが、宗一はエプロンしか着ないので身体の線はそのままだ。ジーンズと白いTシャツに紺のエプロンを掛けただけの後ろ姿は妙に艶かしい。ガラス戸を後ろ手に閉めるとき、少し力の入った腰のひねりに渇きを覚え、森永は慌てて視線をデスクに戻した。

 なかなか戻ってこない宗一を待ちながら、森永は脚立に登り、遊戯室の窓ガラスを拭いていた。毎月の誕生日会の前に遊戯室の窓拭きをするのが習慣だが、ホールには高い位置にも窓がある。背の高い森永は、こういった作業に特に重宝されているわけである。
 上の段の窓をあらかた拭き終わったあたりで、ようやく宗一がやってきた。左腕を揉みながら、脚立の上の森永を見上げる。
「すまんな」
「いえ、上はもう終わりですよ……腕どうしたんです」
 ああ、と呟いて宗一は腕から手を離し、軽く両腕を振った。
「なんでもない。腕枕してやったらちょっと痺れただけだ」
 森永は頬がひく、と引き攣るのを自覚した。自分には腕枕なぞ、してもさせてもくれない_____少なくとも、意識のある時には。
「子どもはいいですよね」
「あ、何か言ったか?」
「なんでも!」
 宗一はもう下の段のガラス窓を拭き始めている。森永も倣い、しばらくは作業に没頭した。

 掃除が済むと、次は飾り付けだ。森永が運んできたダンボール箱の中身は新しい紙花だった。
「古いのと入れ替えるから。足りなかったらまだあるから言ってくれ」
「はい」
 もう慣れたもので、森永の手にも迷いがない。”おたんじょうび おめでとう”と書かれたボード、花飾りや折り紙で作った鎖、動物の切り絵などを次々と飾り付けていく。
「今月は何人ですか?」
「6人。名前の札これな」
 舞台隅のボードには今月誕生日を迎える子の名前を掲示する。立て膝になって受け取った名札をセロテープで貼り付けていると、再び”もりぐち てつおみくん”を見つけて森永は手を止めた。

 別に園児に宗一を奪われるとか、本気で心配しているわけではない。だからテツのことは、単なる表層の問題だ。心にこたえるのは、いつだって宗一が森永より子どもたちを優先することだった。会社員の自分と違い、代わりの効かない職務に打ち込む宗一を森永は尊敬しているし、その仕事を尊重もしている。しかし理性と感情は別物で、ふとすると自分はさほど愛されていないんじゃないかという不安を、もうずいぶんと溜め込んでいた。ものわかりのいいフリが突然限界に達し、森永は大きくしゃくりあげた。
「なんだ、どーした?!」
 泣き声に驚いた宗一が慌てて駆け寄ってくる。その細い腰に縋り付くように腕を巻きつけ、すすり泣く。
「宗一さん、俺のこと好きですか?ほんとに、ホントに好き?」

 午睡の時間はそろそろ終わりだ。出入り口の向こうに広がっていたのどかな空気に賑やかな声が混ざり出す。まだひっそりとした遊戯室には小さく嗚咽が響いていた。
「泣くなよ。おまえはガキか」
 宗一はゆっくりと腰を落とし、膝立ちになると子どもをあやす時のように森永の頭を軽くぽんぽんと叩いた。
「俺が子どもならもっと宗一さんに構ってもらえるんでしょ。それならガキでいいです」
「そうだな。……ガキの扱いなら慣れてる」
 森永は急に髪を掴まれて目を見張った。首に回された宗一の手が、森永の後頭部の髪を鷲掴みにし、勢い良く引き寄せた。
唇が深く合わさり、舌が絡まる。舞台袖のカーテンに隠れ、それでもベッド以外で受けるにはあまりにも濃厚なくちづけだった。

 森永は一瞬自失し、しかしすぐに応じた。甘い唇に夢中になり、気がつけば二の腕を宗一がバシバシと叩いている。
「は、おまえやりすぎだって……」
「宗一さん!あのっ」
「あーーーーーっ!」
 突然割って入ったのは甲高い叫び声だった。
「そういちせんせえとおにいちゃんがちゅうしてるーーー!」
 慌てて声のほうを振り向くと、手を繋いだ女児と男児が目をまん丸にして二人を見ている。大声を出したのは女児のほうで興味津々に顔を紅潮させているが、男児のほうは失望の色があらわだった。
「テツ」
「せんせえうわきだ。ぼくとけっこんしてくれるってゆったのに」
 半ベソで俯くテツに、宗一はひとつため息をついて近寄った。女児はテツの手を離して森永に駆け寄り、脚にまといつく。
「まちこちゃん、今ちょっと揺らさないで……」
 ギクシャクと動きの怪しい森永とは異なり、宗一は落ち着いた様子でテツに話し掛けている。
「曖昧な言い方をして、先生が悪かった。大人になればわかると思っていたんだが」
 しゃがんで目線を合わせ、宗一はテツの両肩に手を乗せると、優しくもきっちりと言い聞かせた。
「日本の決まりでは、男同士は結婚できないんだ」
「えっそこ?」
 思わず突っ込んだ森永をギロリと睨みつけ、宗一は先ほど森永にしたように、テツの頭に軽く手を乗せる。
「けっこんしてないのにちゅうしてもいいの?」
「まあ、それはダメじゃないな」
「じゃあせんせえ、ぼくともちゅうして」
 真っ直ぐに目を合わせてくるテツに、宗一は手を下ろした。眼差しを逸らすことなく、小さく微笑む。
「……なぁテツ。それは出来ないんだ、わかるな?おまえが大人になって、本当に好きな奴ができたらしてやれ」
「宗一さん……」
 それはつまり、森永が宗一の……ということだろうか。少なくともテツはそう取ったようだ。きっ、と森永を涙に濡れた目で睨み上げる。森永はたじろいだが、ここは嘘でも引くことはできない。なるべく脅す感じにならないよう、しかし負けじと視線に力をこめる。

「せんせえのばかっ」
 しばしの睨み合いのあと、叫んで身を翻したテツはバタバタと遊戯室を走り出て、出入り口のところで探しに来た副担任の保育士とぶつかった。
「きゃ、どうしたのテツくん」
 不安げに室内を覗き込む保育士に”後で”と言うようなジェスチャーをしてみせ、宗一はまだ森永にくっついてる女児に手招きをした。
「ほらまち、おまえも戻れ」
「はーい」
 おもしろいものみちゃった、とませた口調で出て行くまちこを苦笑して見送り、宗一は立ち上がった。
「さて、残り片付けちまうか」
 あとはパネルシアターのセッティングをするだけだ。舞台横の倉庫に向かう宗一を上目で見つつ、森永はモジモジと指を組み替えた。
「あの、宗一さん、その前に。一緒にトイレ行きませんか……?」
 振り返った宗一は無表情のまま森永に歩み寄る。思わず一歩後退った森永は、案の定頭上に鉄拳をくらい、床に倒れ臥した。
「ひとりで行け!ついでに掃除してこい!」
「すびばせ……」
 頭に湯気を立てて倉庫に入っていく宗一を見送り、しくしくやりながら森永は身を起こした。
「なんで宗一さん平気なの……」
 森永は股間を抑えながら、遊戯室をよろよろと出て行く。宗一はぷりぷり怒りながら、倉庫で今月のおはなしが入った箱を棚から降ろしている。それでも二人にはちゃんとわかっていた。今夜はきっと……


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