PSS【途絶えども火矢のごとく 3】

第三話です。

萌えどころのない話になってしまっていて申し訳ないです・・・
しかもずっとこんな感じで続きます・・・(´д`ι)

╭( ・ㅂ・)و ̑̑ グッ !←使いたいだけ


【途絶えども〜 2】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪
鍵コメ下さったRさま、そうですね、親の趣味からきてるとこあるんですけどね。予想は近いところです!萌えはないけどよろしくです・・・(汗)
Taさま、じゃあ私は兄さんの血を・・・(;゚∀゚)=3ハァハァ昔何かで血を真空でガラスに封入したアクセサリーっていうのを見たか聞いたかしたような。兄さんの血のピアスとか(;´Д`)ハアハア




己の蒔いた種を思い出せ
知らぬ間に発芽して背後に迫ったその枝葉に
絡めとられて絶望の味を知れ



「失礼します」
 軽くノックをして入った部屋は、燦々と日の光が差し込んでいた。扉の覗き窓には黒布がかけられ”暗室注意”の貼り紙があったが、裏庭に面した窓の暗幕は今は引かれていた。中央に細く配置された実験台には分析器や器具類が几帳面に並べられている。もちろん准教授専用ではないのだろうが、今は学生の姿はなかった。ドア横の壁には試薬棚と冷蔵庫が並び、実験台をはさんで反対側、窓の下の棚にはガラス器具がやはり整然と収められている。
「来ると思っていたよ」
 宗一が入室したドアの対角では、本棚を衝立てのように使って部屋を仕切ってあった。二棹が扉の幅ほどの間を空け、壁に垂直に固定してある。声の主はその通路から現れた。おそらく向こう側にデスクがあるのだろう。
 宗一と対峙した男は実験台を回り込んで窓の前に立った。逆光が頬に陰鬱な影を落とす。芝居がかった仕草に、宗一が眉をひそめた。
「森永って四年生が来たはずですが、ご存知ですか?中野教授がお呼びだったそうですが」
 その嘘が既に露見していることはお互い了解済みだ。でなければ宗一がこの室を訪れた理由がない。
「教授はアメリカだよ。私の名を出すと警戒されるかもしれないからねぇ」
「おっしゃる意味は分かりませんが、森永に実験を手伝ってもらう予定なんです。用が済んだなら返してもらえませんか」
 男の絡みつくような言葉じりに、宗一は淡々と切り返す。
「くく……ははは、君は森永くんと違って用心深いねぇ。巽……宗一、伯爵」
 ひとしきり肩を震わせたあと、男_____三好准教授は表情を改めた。作ったようなふてぶてしさに緊張は隠せなかったが。
「誰かとお間違いじゃないですかね」
「森永男爵はそうは言わなかったよ。彼は気づきもしなかったが、君は私が何者かおおよそ分かっているんだろう」
 宗一は森永の痕跡を探して目を彷徨わせた。だが確認できる範囲では、例えばあの長身を押し込めておけそうなロッカーや物入れは見当たらない。男は宗一の視線を誤解したものか、一歩下がって警戒するように軽く腰を屈めた。
「君がこんなところで危険を犯すとは思っちゃいないが、一応伝えておくとこの部屋は隠しカメラで撮影されている。もし私が死ねばデータは警察に送られることになっているから気を付けたまえ」
「森永はどこですか」
 宗一が脅し文句にも反応せず、無表情のまま再度促すと、相手は鼻白んで机を指先でコツコツと叩いた。
「あくまでも認めないということか。まあいいだろう、そのまま聞いていてくれ」
 三好は携えてきた封筒から紙束を取り出したが、そうする間も宗一から目を離さないように気を配っている。
「君らは意外にも偽名を使ったりはしないんだな。国内外を転々としている間に数十年経つものだから、必要ないと考えているのかな」
 宗一は無言だったが、三好は構わず話を続けた。高揚に瞳を輝かせ、獲物を追い詰める喜びに浸っている。
「この大学の前身が医科大学だったことは勿論知っているね?およそ100年前に在籍していた博士の論文が一部残っている……写真も」
 三好は手にした紙束を実験台に載せ、宗一に向けて滑らせた。宗一の手元に届いたそれは、整った筆跡で書き付けられた論文とモノクロの写真だった。どちらも古ぼけて黄褐色に変色している。写真には古風な礼装の若い男が写っていた。長い髪をうなじで括り、当時では一般的だっただろう丸眼鏡が涼やかな目元を気難しいものに見せている。
「君は変わらんね……当然と言えば当然だが」



 それは確かに宗一の”生前の”写真だった。色彩がなくとも確かに感じられる生気。現在の姿をどんな高解像度で撮影しても、もう写し取ることのできない命の陰影。写真に目を落としていた宗一は、顔を上げないままおもむろに問うた。
「曾孫……じゃないな、玄孫か」
「その通り。やっと認めたな」
 三好は興奮を抑えて口の端を歪めた。男にとっては念願の日だった。何年何十年とこの日を待ち続けたのだ、祖父の代から長きに渡って。計画にはいささかの漏れもなし、焦って仕損じることが最大の懸念だと言えよう。
「森永はどこだ」
「男爵は私の研究所にご招待したよ。研究に協力してくれるそうだ。もちろん君が代わりに来てくれても構わないんだが……」
 遠回しな言い方が鼻について宗一は小さく舌打ちしたが、それでも言わんとするところは察して頷いた。森永の身柄はこの男が確保していて宗一が身代わりになれば解放すると、そういうことだろう。
「住所は」
 促すと三好が小さなメモを実験台に乗せ、宗一のほうに押し出してから離れた。黙ってメモを受け取った宗一はドアに向かい、扉を細く開けたところで振り返った。
「では今夜お伺いしますよ……三好先生」
 そこに追い詰められた色はない。あっさりと出て行く後ろ姿を見送ると、三好は知らず詰めていた息を吐き、どっと吹き出してきた汗を取り出したハンカチで拭った。
「大丈夫だ…….計画は完璧だ。復讐してやるんだ……」
 男はぶつぶつと繰り返すと、置いたままになっていた写真をぐしゃりと握りしめた。



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