SS【それはあなたのこころの】

兄さんディですね。


ミ/ス/ドのチョコフ/ァッジシ/ェイクが大好きです。愛しはじめて約25年。
でもいつも思う。
もっと太いストロー下さい・・・!щ(゚ロ゚щ)
チョコがストローに詰まって飲めないのストレス・・・!


先週末、(多分)全SSを読んで拍手を下さった方がいらっしゃいまして。2日で100とか拍手数が増えていて、一瞬目を疑いました←二度見Σ(゚ロ゚; スゲッ。ご訪問、拍手、コメントなどすべてに、皆々様ありがとうございます!


【途絶えども〜 6】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪鍵コメさまはきっともう内容お忘れかとは思いますが・・・(´д`ι)スミマセン
もう一度通して読むとおっしゃって下さった鍵コメさま、お名前が入っておりませんでした(´・ω・`)よろしければお名前教えてくださいね・・・・!
Miさま、やっぱり二人が一緒に居るのが嬉しいですよね♪こちらこそありがとうございました!
Taさま、山口じいさんです( ゚∀゚)アハ かわいいじいちゃんになってるとイイナ〜 お付き合いありがとうございました!
Rさま、いや多分どっかで見たような何かだとは思います・・・パクってても知らなければ罪は軽いと信じて(((( ;゚Д゚)))





それはあなたのこころの



「あ、しまった。また忘れた」
 実験室の扉前でポケットを探り、俺は舌打ちした。仕方が無いのでコーヒーを買いに寄り道している森永を待つ。
 今朝は助手たちが講義に出てから来るので、一番乗りは俺たちだ。以前は鍵を忘れるなんてことはなかったんだが、森永と暮らすようになってから自分で施錠すること自体が減ったせいだと思う。
「あれ。鍵忘れました?」
 追いついてきた森永からカップを受け取り、ドアが開くのを待つ間に一口飲む。家で飲むコーヒーのほうが断然うまいとか、いちいち思うようになったのもいつからだろう。
「先輩結構多いですよね。今はいいけど……」
「わかっとる。気をつけるから」
 気遣わしげな顔は見ないようにして室内に入る。アパートの鍵を研究室に忘れたこともあるし(しかも翌日学校へ行くまで気づかなかった)、「ほっとけ」では済ませられないのが痛いところだ。なんせ森永の家の鍵でもある。
「俺も声掛けるようにしますね」
「ああ」
 しかし森永が卒業したら、俺が家を出るときこいつがいるとは限らない。やはり自分で気を付けるしかないだろう。
 家に帰ると俺は、玄関を開けるのに使った鍵を下駄箱の上に置く。森永が開けたときは、研究室の鍵と一緒に鞄かポケットに入ったままだ。風呂に入る時に気付いて、洗面所に置きっ放しになることもある。思うにこれが問題だ、定位置がないから失くしても気づかない。
 つらつら考えてはみたものの、結論が出る前に実験台の前に立ってしまった。こうなると瑣末な事はすぐ頭の隅に追いやられる。
「始めるか」
「はい」
 結局その日も俺は一度も鍵を触らず、帰ってから家の鍵も持って出ていなかったことに気付いたのだった。


 数日後の日曜日、俺は午前中ひとりで学校に行った。2、3時間で済む用事だし、森永は買い出しに行くと言うのでそちらは任せた。どうせ俺が行っても荷物持ちにしかならない。
 よくある休日のパターンだ。森永は週末にまとめ買いをして食材の下ごしらえやおかずの作り置きをする。その合間に掃除や洗濯も手際良く済ませ、時間が空けば俺に構う。俺は学校に行く用事が無ければ本を読んだりデータ整理をして過ごす。もちろん自分の部屋の掃除や洗い物、洗濯物を畳むくらいはする(ちなみに洗濯物を干すのは断られた。俺がやると皺になるとか襟が伸びるとかいうのが主な理由だ。干す位置や向きにもこだわりがあるようで、俺には到底理解できない)。

 いつも通りに過ごして寝るだけになって、俺はまだソファで本を読んでいた。あともう20ページかそこらで、今日はその本を読み終えてしまってから寝るつもりだった。手探りでマグカップを取り上げ文字から目を離さないままコーヒーを飲もうとし、中身がないことに気付いて舌打ちする。そこでやっとテーブルの向こうに座っている森永が視界に入った。
 森永は何かを言いたくてうずうずしているように見えた。期待で笑い出しそうな顔。森永のこの表情を見ると、俺は芸当をうまいことやってのけて、尻尾振って褒められるのを待ってる犬を思い出す。
「先輩、手を出して下さい」
「?」
 手のひらに落とされたのは、アルファベットをかたどった飾りが付いたキーホルダーだった。収まりのいい、適度に大きなサイズの”T”。素材は恐らくステンレスだろう、表面には艶消しの加工がなされている。横棒の隅のほうには控えめに煌めく小さな緑色の石が嵌め込まれていて、中心のリングにはナスカンが5つ_____大きなものが1つと鍵を留めるための小さなものが4つ_____ぶら下がっている。
「これ前に雑貨屋で見てちょっといいなと思ってたんですよ。プレゼントです。良かったら使ってください」
「プレゼントっておまえ……」
「高いものじゃないですから。ね?」
 ちなみに今日は誕生日でもクリスマスでも正月でもない。けどやる側なのに森永があんまり嬉しそうにしているもんだから、金を払うとか、そう言うのもなんだか違うような気がした。
「……ん、さんきゅな」
 いえいえ、と言って森永はテーブルの向かい側から横のほうへ移動してきた。キーホルダーを包むように軽く丸めた俺の手のを覗き込み、指をさす。
「ナスカン付いてるんで、リュックに留めておけば忘れないでしょう?TATSUMIの”T”だから置き忘れてもみんな先輩のだって分かるし」
 指は飾りをなぞるフリで手のひらに触れた。くすぐったさに手を引いた俺を、森永が息だけで笑う。
「セミオーダーで石の種類とか色々選べて。これはペリドット、8月の誕生石です。鍵もちょうど4つ付けられるように」
「ちょうど?多いだろう」
 俺は普段2つしか鍵を持ち歩いていない。研究室のには室名を書いた樹脂のラベル付きキーホルダー、家のには余っていた携帯のストラップが付けてある。
「うちと研究室と、松田さんちの鍵も預かってるでしょ?いざってとき取りに戻るのも時間かかりますしね。それから……前の家の鍵も。捨てずに取ってあるんでしょう」
 思わず真正面から目を合わせる。森永が案外真面目な顔をしているのに動揺して、すぐに視線は逸らしてしまった。
「なんで知ってんだよ」
 家を取り壊しても、鍵は捨てられずに机の引き出しに入れたままになっていた。女々しいような気がして捨てようかと迷い、その度に思い直してしまい込む。もう三度は繰り返していた。
「そうだろうなと思っただけ。いいじゃないですか、お守りになりますよ。その鍵だって火事から守られたもののひとつです」
 森永が顔を近付けてきても逃げなかったのは、別に肯定されたことが嬉しかったからじゃない。礼くらいしてもいいと思ったし、今日はもう何もすることが無かったし_____ああ、そう言えば本は読みかけだったかもしれない………


 翌日さっそくそのキーホルダーに鍵をつけて学校へ行った。カバンの見えるところにつけておくってのは実際良いアイディアだ。うっかりポケットに入れても、重量があるからわかりやすい。シンプルなデザインも良く、俺はそれをかなり気に入った。

「あ、このキーホルダーかわいい!」
 トイレに行って戻って来ると、美春が森永の机の前ではしゃいだ声を出している。
「ステンレスって指紋がつくけど、艶消しならキレイですね。これは自然石?」
 どこかで聞いたようなアイテムだ。だが美春は俺のキーホルダーを見ているわけじゃない。
「カーネリアンだよ」
「7月の誕生石ですね。森永さん7月なんですか?」
「うん……詳しいね」
「私こういうの結構好きで〜」
 楽しそうな美春に対し、森永は声を抑えて言葉を濁すふうだ。昨日は何も言っていなかったが、森永も同じキーホルダーを買ったのだろうか。別に隠すようなことでもないと思うんだが。
「でもなんでSなんですか?MかTじゃなくて」
 その言葉に思わず顔を上げると、森永と視線がぶつかった。まずい、という顔をしている。
「や、その……ちょうど気に入る組み合わせが無くて。別にイニシャルじゃなくてもいいかなって」
 おまえそれセミオーダーっつったよな。組み合わせがないなんて、絶対わざとだろう。TはTETSUHIROのTだったのかと俺は合点がいった。Tに8月の誕生石、Sに7月の誕生石。意味を持たせたいのがミエミエだ。
 森永は恐る恐る、といった風に俺のほうを窺った。俺は眉をしかめてみせ、それだけで自分の作業へと戻った。森永が同じキーホルダーを付けていたからってなんだっていうのだ。市販品なんだから、同じ物を持っているヤツなんていくらでもいる。ほっとしたように笑顔に戻りしつこいくらいにまとわりつく森永を、俺は無言で一発殴ってやった。


 お揃いなんてゴメンだ、こんなもん付けるかって、言うのは簡単なんだがな。一度気に入ったものに飽きるのは、俺は難しいらしいんだ。



*********

後日、美春さんは兄さんのキーホルダーに気付いてニヤニヤ(・∀・)ニヤニヤ


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