PSS【10 Things I Love About You 1】

 カウンター7000でのリクエスト、2件目です。
 今回はタイトルがかなりまんまなのもあり、リク主さまと相談の上いきなりネタばらしです(・∀・)

 こちらは映画【10 Th/ings I Hat/e Abo/ut You】(邦題:恋のからさわぎ)のパロディ、リク主はYewさまです。
 なぜこれかと言うと、リク主さまがお友達と暴君でシェイクスピア、という高尚なお話をされてたそうなんですね。ということで最初、暴君はまさに【じゃじ/ゃ馬な/らし】だから、これをパロッたものを!とリクエスト頂きました。駄菓子菓子。むずいorz
 それで色々お話しているうちに、【じゃじ/ゃ馬〜】を下敷きにして舞台をアメリカのハイスクールに移した【10 Things〜】のほうが暴君に合いそうだから、こちらではどうかと言っていただき、そうすることに。
 私は初見だったのですが、若くして亡くなったヒー/ス・レジ/ャーのデビュー作だそうで、初々しい笑顔が可愛くて泣けました。惜しいことです。

 さて今回も全年齢対象になる予定です。学生生活については_____学生だったのが随分昔になるもんで_____色々あやしいですが、そのへんは生温くスルーしていただけると助かります。


 前回の【またちょっとファンブックの話】では色々ご意見いただきまして。そうですね〜私も兄さんが過去のことをグチグチ責めるとは思わないんですけど、似たような状況に陥った時に思い出して「あのときはむかつくこと言いやがって!」と一発殴ってやったりすればいいのに、とか。要するにその辺が気になるのは兄さんじゃなくて私だということですね!
 あと誤解を招く書き方だったのかなというところもあったんですが、不幸な事件→森永くん謝る→兄さん許すという流れに関しては、それは事件として完結しているし、森永くんはちゃんと謝っているしそこに不満はありません。兄さんだってちょっとは悪かったしねwwただ森永くんの発した言葉_____です。きっと森永くんは自分に対しても言い訳していたのだとは思うんですが、そこで私は「先輩のことが好きで好きでたまらない。こんな色っぽい姿見せられて我慢できない。理由なんてなんでもいいから触らせて」って、言って欲しかったんですよね(´・ω・`)
(翌朝そのようなことは言っているけど、兄さんを責めるような言い方だし)
 兄さんにしてみればどんな言い方だろうとやられたことは一緒だし、関係ないかもしれませんが。
 なんて、だんだん何を言いたいのかわからなくなってきたり・・・。まあそんなところに引っかかる人もいるんだな、と思っていただければ(^ ^)気に障った方がいらしたら、すみませんでしたm(_ _)m



【ファンブック〜】、【またちょっと〜】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪懐かしい【その瞳に映る光景は】にもコメント頂きまして。そちらもありがとうございます!
 Keさま、歓迎会のSSの件はそうです、媚薬事件のこと。真崎さんにあまり触れないのは、私がいまだ7、8巻を(読んだことはあるけど)入手していないという事情にもよるのですが( ゚∀゚)アハ 兄さんが森永くんの笑顔に弱いのはホント一貫してますね。森永くん、なんて愛されているんだろう・・・
 Riさま、確かにあのとき森永くんは、兄さんに対して初めて本性を剥き出しにしたのかも知れません。犬の仔だと思って育てていたら狼だったみたいなwwでも普段のもめごとと同じレベルで許してやろうとしてましたもんね・・・
 Chuさま、ああ〜森永くん防衛本能は強そうです。カナダでも楽しかったかなぁとは思いますが、兄さんが受け入れた上でだと、ホント初めてのことかも!森永くんがはやく兄さんの愛に気付いて、満たされればいいですよね(^ ^)
 Chiさま、森永くんの片思い期間は無駄じゃなかったんですよねえ。まさに岩をも通した恋心v森永くんももっと自信を持てばいいのに〜でも「もやっ」(笑) 




10 Things I Love About You



 春、私立高永学園では入学式が執り行われた。満開の桜の下、夢と希望に胸を膨らませて式に臨んだ初々しいスーツ姿の新入生たちが、晴れて大学生となった喜びを互いに分かち合っている。
 しかし今年度修士2年の彼らには関係のないことだ。経済学部棟は講堂の隣に位置している。休憩のため一階にある自動販売機まで降りてきた磯貝と黒川は、失った夢と希望を懐かしむような遠い目で、空気までキラキラと輝くような彼らを眺めていた。

「黒川、おまえこの間の面接どうだった?」
「ご縁が無かった……そっちは?」
「同じく」
 どちらともなく乾いた笑いを漏らし、ベンチに座った二人はジュースをちびりちびりと啜る。
「就職難とかなー……。そのうち回復するっつうから院にまで上がったのに。ますます難しくなってるじゃん」
 一口を飲んで相槌を待ったが応答がない。磯貝は友人が黙ったままであることを怪訝に思い、サークルの勧誘を受ける新入生たちから視線を剥がした。
「黒川?」

 隣を見てみると友人である生真面目な男は、一心不乱に前方を見つめていた。高揚した表情で頬を染め、気を取られすぎて口はだらしなく半開き。手に持ったままの紙コップは握り締められて変形し、フチまでせり上がったコーヒー牛乳が今にもこぼれそうだ。
「どの子?」
 これは言わずもがな、可愛い子を見つけたに違いない。往々にしてこういう場合はどっちが先に目をつけたとか揉めることがあるが、二人の好みは幸い傾向が異なるので困ったことになったことはない。
「あの……眼鏡でショートカットの。ほら今天文部の勧誘受けてるパンツスーツの……」
「グレーのスーツ?」
「うん」
「今チラシ受け取った?」
「うん。可愛いなぁ……」
「おまえ今日コンタクト忘れた?」
 唐突な、考えようによっては彼女にまで失礼な問いである。黒川もさすがに顔を引き締めた。
「何言ってんだ、俺裸眼だよ。知ってるだろ」
「じゃあ視力下がったとか?」
「先週の健康診断で両目1.5だったけど?」
 黒川が軽く睨みつけても、磯貝は悪びれるでもない。真面目な顔で新入生のほうへ顎をしゃくる。
「よく見ろよ。あれ男だぞ」
「ふざけんなよ、そんなわけ……」
 黒川は磯貝にしょっちゅう騙されているので反射的に否定したが、磯貝の神妙な顔つきに押し黙り、改めてその人物を注視した。

 黒と言うより焦げ茶色のショートヘアはふわふわと柔らかそうに風になびく。身長は160cm半ばくらいであろうか、細いが案外しっかりした身体つきは、くりっと大きな瞳もあいまってまるで仔鹿のようだ。顔は小さくて綺麗な卵形、掛けている眼鏡が余って見えるほど。抱え込んだ紙束に隠されている胸元にあまり膨らみはないだろう。しかし黒川はあまり豊満ではないほうが好ましかった。
 天文部員に小さく礼をして離れる新入生の笑みに再び黒川が相好を崩していると、そこでひとしきり勧誘を受け終えたと見え、新入生はいったん鞄を下ろして紙束を仕舞った。垂れ下がってきたネクタイを慣れない手つきで上着に押し込みながら。
「……?……?!……!!」
「残念だったな」
 肩をぽんっと叩く悪友の口元は、堪えきれずに緩む寸前である。
「どんなに好みでも男じゃなぁ……それとも新しい扉開いちゃう?」
「………」
 膝の上に頭を抱え、黒川は忍び泣いた。



「……ろかわ、黒川!」
「!」
 研究室で机に頬杖をつき物思いにふけっていた黒川は、慌てて周囲を見回した。呼びかけの主は小声でも判別できる相手だが、さてその声はどこから聞こえたものか。
「こっちこっち」
 真後ろの扉から半身を覗かせた磯貝は、あたりを憚る様子で手招きをした。つられて息を殺し、足音を忍ばせて扉に向かう。たどり着くと磯貝は唇に立てた指を当ててみせ、廊下の突き当たりにあるゼミ室まで黒川を導いた。

 室に入ると磯貝は内側から鍵をかけ、カーテンを閉めて扉から一番遠いパイプ椅子に腰掛けた。向かいにくるように椅子を引っ張って座った黒川は落ち着かない。果たしてこんな風に周囲を警戒する話題が自分たちにあっただろうか。
 小さく咳払いをした磯貝は長机に両肘をつき、まるで取り調べでもするみたいに手を組んだ。
「ときに黒川、例の新入生は諦めがついたか?」
「うっ」
 黒川は痛いところを突かれて胸に手を当てた。それはもう、今しがたも彼のことを考えていたのである。もし入学式のあれっきりのことであれば黒川も冷静になれたかもしれないが、運命の悪戯だと思うほど構内の至る所で出会うのだ。校門、食堂、生協、カフェ、一般教育で使用する教室、果ては学生課でまでも。
 始めは見た目が可愛いというだけだったが、友人たちと談笑する姿やぶつかりそうになって会釈する仕草、職員と会話する話し方……すべてが黒川の好みド真ん中で、もう相手が男だとかそういうことは頭から消えかかっているほどだ。

「そうだと思って少し調べたんだ」
 磯貝はふふん、と得意げに鼻を鳴らしてジーンズの尻ポケットから手帳を取り出し、パラパラとめくった。この使い古された手帳を磯貝は決して他人に見せない。だが長い付き合いで、そこに大したことは書き込まれていないのを黒川は知っている。情報はみんな頭の中に入っているのだ。相当な記憶力だと思うが、学業の点ではあまり発揮されている様子がない。
「彼は工学部航空宇宙工学科に入った。外部受験だが、高校で既に将来はNASAだという呼び声が高かった」
「あ、名前は……?」
 黒川はずっとそれが気になっていた。心の中ではベタに”メガネくん”と呼んでいるが、そろそろ名前を知りたい。
「まあ待て、物事には順序ってものがある」
 片手を上げて黒川を制すると、磯貝は再び手帳に目を落とした。これは良きにしろ悪きにしろ大きなネタを抱えていると見える。
「入試はトップだったそうだ。非常に優秀なんだが鼻にかけるところはなく、周囲の印象は人懐っこい、優しい、可愛い、天然、変わってる、などなど。運動は苦手で、女子に可愛がられているが浮いた話はない。女に興味がないようだが、男にあるとも聞かない。彼の愛情のすべては機械に注がれているわけだな。そして好奇心が旺盛で物怖じしないタイプだ。これは有利じゃないか?男と付き合うのも経験だと思ってくれるかもしれないぞ」
 食い入るように話を聞く黒川は、最後の部分に目を輝かせた。男だし6つも年下だし、無理だ諦めろと自分に言い聞かせていたが、もちろんチャンスがあるのなら逃したくはない。
「彼自身はお近付きになるのになんら障害があるとは思えない。しかし問題は彼の家族にある。巽巴くん18歳」
「たつみともえくんか!可愛いなま」
 頬を紅潮させて復唱した黒川は、笑顔のまま固まった。ギギギ、と音が出そうな動きで磯貝のほうに傾く。
「今、たつみって言ったか?」
「言ったね」
 磯貝は重々しく頷く。
「もしかしてあの巽?」
「あの巽だ」
 磯貝はまたも重々しく頷く。
「ああ……!」
 黒川は膝から崩れ落ちて床に手をつき、己の不運を呪った。その背中を見下ろし、磯貝は芝居がかった口調でとどめを刺す。
「そう、彼は巽宗一の弟なんだ。あのホモ撲滅委員会会長の!」
「終わった……」

 巽宗一は農学部の修士二年で、学園一の変わり者として名高い。教師も一目置く頭脳を持つ研究の虫だが無愛想で横柄、研究者のイメージとは裏腹に喧嘩っ早くて容赦がない。怒らせて酷い目にあったという逸話なら、いくらでも聞き込むことができる。
 その変人はなぜか同性愛者を非常に憎んでいて、二年前には実際にゲイ狩りを行い、当時男色だと囁かれていた准教授を病院送りの上学園から追い出したという噂がまことしやかに流れていた。ちなみにホモ撲滅委員会というものは存在しない。
 自分をホモだと認定されるのも非常に考えたくない事実だということはさておき、弟に迫れば間違いなく敵とみなされるだろう。ボコボコにされたあげく失恋では浮かばれない。黒川は目の前で、巽宗一が誰かを叩きのめしているのを見たことがある。
 窓を見上げて落涙する黒川だったが、磯貝はまだ続きがある、とパイプ椅子にふんぞりかえった。
「ここまでの情報が学食のA定食だ。巽宗一対策案は居酒屋で晩メシ。どうする?」
「……ドリンクは二杯までだぞ」
「よし乗った!」
 こうやって何かにつけて奢らされるのが常だが、人間観察を趣味とする磯貝の読みはよく当たった。経済なんて学んでないで探偵事務所を開けばいいのにと、日頃から黒川は思っている。
「つまりこうだ。巽がホモを嫌う理由はわからんが、嫌いなら好きにさせりゃいい。巽をホモに籠絡させるんだ。弟くんがおまえを好きになるかどうかはおまえ次第だけどな」
「無茶言うなよ……そんな簡単に男を好きになるわけないだろ」
「おまえがいい例じゃないか。それにそういうことが得意なヤツがほら、いるだろ?」
「あ!」
 床に座り込んだまま、黒川は手のひらを拳で打った。経済学部には留学生が多く、中には全く性癖を隠さない本場のツワモノもいる。
「ノンケ喰いのリックか!」
「そゆこと」
 磯貝は得意気に腕を組んで背もたれに寄りかかり、パイプ椅子を軋ませた。



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