PSS【10 Things I Love About You 2】

第2話です。兄さんディですね。


 先週末から今週にかけて、たくさん過去話を読んで拍手下さった方が2、3人いらっしゃるようです。ありがとうございます!!お一人はどなたか判明しておりますけどもww
 そんな皆さんのおかげさまで拍手数も8000を越えまして。数字を眺めてニヨニヨしています(・∀・)いつも誠にありがとうございますm(_ _)m



【10 Things 〜 1】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪
 Keさま、優しいお言葉ありがとうございます(^ ^)私もその件に関しては・・・7、8巻を入手したらよく考えてみます←本編でアンサーがあるかなあ?高永学園、私も入学希望です!兄さんの手下になりたい。リックのその後・・・黒川さん巴くんとはまだ付き合いありそうですよね。
 Rさま、っぽくはなるかもですww兄さんと森永くんの登場は、もう少しお待ち下さい〜





「磯貝はリックと知り合いなのか?」
 二人は待ち合わせの学内カフェへと向かって歩いていた。リックは確かに有名だが、高等部から今年度大学部に上がったところ、つまり巽巴と同じく一年生だ。黒川や磯貝とはかなり年が離れている。
「まあね、サークルの交流で何回か。色んな意味でアメリカンだけど、いい奴だぜ」
「ふうん」
 磯貝がどうやって話を持っていくのか不安はあれど、協力してくれるつもりなのは間違いない。面白がっているだけかもしれないが、磯貝が黒川をからかっても決して貶めたりはしないことを、長い付き合いで黒川はちゃんと知っていた。

「あ、リック……とアレ。巽巴じゃないか?」
「あ!」
 カフェの出入り口付近で立ち話をしていたのは、確かに話題の二人だった。リックは浅黒い肌に金髪碧眼という絵に描いたような美形外国人で、立っているだけでも目立つ。それがいかにもアメリカンなオーバーアクションで話をしているものだから、かなり人目を引いた。
 注目を浴びたくない二人が躊躇していると、彼らに気付いたリックが周囲の視線など頓着もせず、大きな動作で手を振ってくる。
「ヘイ、磯貝サン!こっちこっち!」
 苦笑いで手を振り返す磯貝を見て、巴がぺこりと会釈をする。その視線が横に流れて巴があ、と小さく声をあげた。

「そちらさんは?」
 調べていることなどおくびにも出さず、磯貝がしゃあしゃあと巴に笑いかける。
「巽巴と言います、工学部の一年生です。あの、こないだはありがとうございました」
 はにかんだような笑みは黒川のほうに向けられた。磯貝がどういうことかと言外に滲ませて横を見る。黒川はすでに顔を赤くしてしどろもどろだ。
「いや、こないだちょっと……はは」
「僕がつまづいて落とした本やノートを拾うの手伝って下さったんです」
 黙って二人の顔を交互に見ていたリックは、突然巴の肩に腕を回して引き寄せた。
「トモエごめんネ、ボク今からこの人たちと約束なんだ。話はまた明日聞くから!」
「う、うん」
 黒川は思わず叫びそうになったのを辛うじてこらえた。リックの異名を知っているだけに気が気でない。それにリックの態度はかなりあからさまだった。
 奥歯を噛み締める黒川と、巴と組んだままの肩をそびやかすリック。睨み合う二人を不審に思う様子もなく、巴は小脇に抱えたファイルから紙片を取り出した。
「あの、良かったらお二人もこれ……」
「ちょっとトモエ!」
 慌てて止めようとしたリックの手をかいくぐって受け取ったのは、”サークルメンバー募集!”と書かれた勧誘チラシだった。
「巽くん、新規にサークル興すの?」
「はい、宇宙で役に立つロボットの開発をやりたいんですけど、なかなか既存のサークルでやれそうなところ無くて」
「ま〜実績あるとこだと1年なんて触らせてもらえないしねー。そうじゃなきゃロクに活動してないか」
「そうなんですよ、でも登録に五人必要で……」
 磯貝と巴の会話は黒川の耳を素通りした。これはまるで天からの贈り物だ。お近づきになるのにまたとない好機だ。
「マスターなんて誘ってどうすんのサ!」
「兄さんだってM2だけど、とにかく登録するのが先だもん。あと二人必要なんだよ」
「俺入るよ」
 はっきりと宣言した黒川を、巴は瞳をキラキラさせて見上げた。リックはたちまち渋面を作る。
「本当ですかーっ?!ありがとうございます!」
「じゃあ俺も入るよ。これで五人なの?俺と黒川と巽兄弟とリック?」
「はいっ!」
 早速登録に行くと言う巴に名前と学科を教えて別れた。ついて行こうとして磯貝に止められたリックは文句タラタラだ。
「リック、おまえ巽くんを狙ってるのなら、共同戦線張らないか?」
「何それ、どーゆーイミ?」
 来たときの愛想の良さは何処へやら口を尖らせるリックに、磯貝はにん、と笑うと親指を立てて背後のカフェを示した。


「つまりィ、そのオニーサンをどうにかしないとトモエとは付き合えないって、そういうこと?」
 アイスティーの氷をからから鳴らし、リックは思案顔だ。高等部1年からこの学園にいるため、嫌でも巽宗一の噂は知っている。名字が同じだからといって巴と兄弟だとは思っていなかったようだが、知ってしまえば無視は出来ない話だ。
「おまえらにとっては身の安全を守るためにも必要なことだな」
 軽い調子でまぜっかえす磯貝はもうやる気満々だが、黒川はまだ迷っていた。本当にそんな騙し討ちのようなことをしていいのか。バレたとき完全に軽蔑されそうな気がする。
「でもボクはトモエが好きなんだから、協力は出来ないヨ。相手によっては二股でもいいケド、トモエはそういうのキライそうだから」
「だから代わりにナンパ得意な奴知らないか?バイトってかたちでいいからさ」
「それはまあ、アテがなくもないけど……」
 顎に手をあてて空を見たリックは、その姿勢のまま斜向いに座る黒川を横目で睨みつけた。自分の意見も主張せず、ずっと黙ったままのライバルが気に入らない。
「ボクは人脈を提供、磯貝サンは情報。黒川サンは?自分のコトなのにさっきからずーっと人任せ!」
「あ、すまんちょっと考え事を……」
「こいつは金を出す」
 背中をバンと叩かれて、黒川は飲もうとしたコーヒーを噴き出した。リックがキッタナーイ、と大げさな仕草で避ける。
「なんで俺がっ?!」
「一年のときから暇さえあればバイトしてんじゃないか、実家暮らしのくせに」
「独立資金なんだよ……!俺の家庭環境知ってるだろ?!」
 黒川の母は先日五度目の結婚を果たしたところだ。四人目は死別だったが、あとは全て離婚。相手はみんな良い人だったが、黒川の安定志向に次々替わる父親が影響しているのは間違いない。
「じゃあこの話はナシにするか?俺らだけじゃどうしようもないのは事実だぞ」
「うっ……」
 黒川は一瞬で色々なものを秤にかけた。脳裏に巴の笑顔がちらつく。
「………わかった。出すよ」
 しぶしぶ了承すると、磯貝とリックはにやりと笑ってハイタッチした。小気味よい音が黒川の耳を打つ。
「決まり!じゃあ金曜日バーに行くから一緒に来てヨ。もちろん黒川サンのおごりネ!」
「必要経費だけだからな……」
 どうにも方向性が間違っているような気がしてならない。黒川は痛み出したこめかみを押さえ、溜息をついた。


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