PSS【10 Things I Love About You 6】

第6話です。


 今日のおともはカンパンです。
 数年前防災訓練のときにもらったものが賞味期限が近くなったので開けたんですが、やはりちょっとつまんない味ですよね、これ(カンパン関連の方ごめんなさい)。水分ないとつらいし。最近は普通のお菓子の5年ものみたいな非常食も多いようなので、かわりに買うならビ◯コとかコア◯のマーチがいいなぁ〜。



【10 Things 〜 5】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪
 Keさま、キャライメージ守れていたら嬉しいです(^ ^)ツカメナイ人達が今回いっぱいなのでドキドキしてます・・・(・∀・ι)私も森永フィルター搭載済みなんで、兄さんはセクシーダイナマイトボンバーに見えますよ(;゚∀゚)=3ハァハァ続きもよろしくどうぞ〜♪




 こんな気持ちはどれくらい振りだろう。
 一緒にいるだけで心が浮き立つ。
 目が合えば鼓動が跳ね上がる。
 笑ってもらえたら嬉しい。


 黒川は毎日のサークル活動が楽しくてならなかった。女性との付き合いはそれなりにあったが押されて付き合うことが多かった黒川にとって、こんなトキメキは初恋以来と言える。
 リックはフィルを敬遠してあまり来ない。かわりに昼食や同じ講義のときには目敏く巴を見つけて席を共にするらしいが。二人の間には何か複雑な事情でもあるようで、驚くべきことにあのリックがフィルには強く言わず、多少の嫌味くらいであっさりと引き下がる。その無意味さを十分わかっているからかもしれないが_____と、黒川は黙々と絵を描くフィルに目をやって考えた。
 フィルは普段どこで何をしているのやら聞いても言わないが、16時には毎日やって来た。リックが来なくてもお構いなしで、ひたすらスケッチブックにアーティスティックな何かを描いている。そして時々思い付いたように顔を上げると、ロボットのデザインについて語ったりした。意外にも日本語に堪能で字もある程度読めるようなので、Tシャツのセンスからして作品には期待できないなどと思うのは余計なお世話かもしれない。
 巴はレスキューロボの製作に夢中で、何度も線を引き、組み立て、動作確認を繰り返している。少しずつロボットの動きが良くなっていくのを見るのは、門外漢である黒川にも面白かった。
 巴は実現性にもこだわったので、黒川は実際そのロボを生産するとしたら、という仮定で製作費や輸送費、省エネ効率などについて調べたり、相談を受けたりした。費用の計算についてはやはり黒川のほうに一日の長があった。
 主にその三人が普段集まるメンバーだったが、意外と参加率の高かったのが森永だ。先輩に頼まれてるから、とちょいちょい顔を出しては組立分解買い出しなどを手伝った。来る度に巴から宗一の話を聞き込んでいくので、その礼のつもりなのかもしれない。

 コンテストまですでにあと1ヶ月を切った。すっかり打ち解けた二人は、準備をしながら色んな話をした。好きなこと、苦手なこと、家族のこと、子どもの頃の思い出、これからの夢。巴はNASAで働きたい、という昔からの夢をずっと大事にしていて、しかもそれを現実にするため確実に歩を進めている。
 黒川は自己を省みずにはいられなかった。自分にも何かしら夢があったはずなのに、いつの間にか無難なほうへ楽なほうへと流れていってしまっている。このまま適当な就職先を探して適当に生きて____それでいいんだろうか。いや、今でも平凡な生き方が悪いことだとは思っていない。だが瞳を輝かせる想い人を前に、それはいかにも卑小な考え方に思えた。


「だからってこれは魂胆ミエミエすぎるだろ」
「そんなんじゃないって」
 黒川は家を出た。
 今まで住んでいたのは母と二人暮らしのアパートで、再婚した母は新たに義父となった緋野の住むマンションとを行ったり来たりしていた。息子の突然の引越し宣言に、あんたも大概いい年だから、と含みのある表情で笑った母も近日中にアパートを引き払う予定だ。生活家電は持っていっていいと言われたので業者を頼み、荷解きは磯貝に手伝ってもらった。
「母さんが心配だとか、大学出てから、就職してからって、ずっと先延ばしにしてたんだよ。結局おれ何も行動を起こしてないんだよな。人生に対してって言うか……巽くん見てたらなんか恥ずかしくなっちゃってさ」
「それがアパート借りることにどう繋がるんだよ」
「だから、独立への第一歩だよ!単に気持ちの問題だけどさ……」
 引っ越し祝いにと持参したビールをあおって磯貝は鼻を鳴らした。夕食は黒川持ちでデリバリーのピザだ。
「でも電車終わっちゃったらどうぞとか言う気だろ?」
「そりゃまぁ、今ロボコンの準備も大詰めで毎日遅いしさ……俺もうあんまり手伝えることもないし、何か力になりたいだろ」
「おまえが実は尽くすタイプなのは分かったけど、その前にすることがあるんじゃないか?」
 う、と言葉に詰まった黒川は座卓の上でビールの空き缶を並べ出した。種類で分け、ラベルを揃えて縦に積む。
「順序が逆だって言うんだろ。分かってるけど、今は言いたくないんだ……。製作に集中してるのに悩ませたくない」
「悩んでくれるとも限らないけどな」
 言いながら軽く噴き出す磯貝を睨んで、黒川は意味もなくビール缶の塔を移動させる。
「そういうタイプじゃないよ。言ったら絶対困らせる」
「んじゃ諦めるか?」
 ズバッと言い放った声は、しかしからかう調子はなかった。空き缶から目を離して顔を上げると、存外真面目な顔で見つめられていて戸惑う。それも考えなかったわけじゃない。か弱そう、守ってやりたいなんて初めの印象はすっかり薄れてしまった。だけれども。
「でも……カッコいいじゃないか。ちゃんと夢があって、それに向けて着々と道を歩んでて。俺なんかよりずっとしっかりしててすごいよ……」
 巴は腕力こそないが、決して弱くも頼りなくもなかった。可愛い笑顔や柔らかい物言いでそうとは思われにくいが、イエス・ノーをはっきり言うし芯の通った考え方を持っていて、しかも割と押し通す。優柔不断で人に流されやすい黒川にとってはその強さも魅力的に映った。知れば知るほど好きになるなんて、こんな相手にそうそう出会えるとも思えない。
「別に俺は止めろとは言ってないぜ。けど迷うなら巴くんにも失礼だろ」
「そうだな……」
 考え込んでしまった黒川に苦笑し、磯貝は立ち上がると冷蔵庫から冷えたビールを二本取り出してきた。一本を黒川に寄越すと、自分もプルタブに爪をかける。
「ま、リックにひっ攫われないうちに心を決めないとな。あいつホモバレしたから開き直ってアプローチしてるみたいだぜ」
「え、いつの間に?!」
「巴くんはフィルに当てつけるためだと思ってるみたいだからな。しばらくは大丈夫だろうけど……リックは手が早いだろうしなぁ」
 ますます頭を抱え込む黒川をひとつ笑い、磯貝は缶を傾けた。恋愛ごとにいつも一歩引いていた親友が恋に振り回されるさまはなかなか興味深い。膠着状態の三角関係をどうやって打破するか見物だ。別にただ面白がるつもりはないから出来る限りで協力しているのだ、これくらいは許されるだろう。それに今回の場合、気持ちが通じたらそれでメデタシメデタシといく筈がない。黒川にはまだまだ磯貝の助力が要る。
「さて、巽宗一がどう出るか……」
 考えているうちにウトウトしだした黒川に憐憫のこもった一瞥を投げ、磯貝は携帯電話を操作しメールを送信すると、にっと口の端を上げた。


 
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