PSS【If winter comes…】

 間に合わなかった兄さんディorz


 もう23日なんですね・・・いや24日ですが。続きものの続きでなくてすみません(´д`ι)
 今書きたいものがたくさんあって、あっちこっち手をつけて結局どれも終わらないという惨状になっています( ̄ω ̄;)今回も朝になってから兄さんディであることに気づき、とにかく今日中に出せそうなものを仕上げることに。

 今回は、もう皆さん忘れていらっしゃるとは思いますが・・・3月に募集した一周年記念リクエストのネタです。
 いただいたリクエストをひとつなぎにしたいなぁとは思ったのですが、思いの外シチュリク(?)が多くて案の定というか降参して、3つに分けることにしました。
 日常系、パラレル系、そして今回の「ある日、森のなか」の3本です。
 夏の新刊(Rさんに読ませていただきました♪ありがとうございます!詳しくはオフレポで・・・ってまだ書いてねえぇぇ!)と若干かぶる・・・ような気もするんですが、読む前に書き始めたものなんでご容赦を(・∀・ι)

 あと募集時にも一応注意書きしたのですが、この一周年リクに関してはリク主さまの(その時記名された)HNとリク内容を問答無用で晒します。やっぱりヤメテ・・・という方は今のうちにご連絡下さいね!でも多分皆さん忘れていらっしゃると思う・・・。

 今回のリク主さまは卯月さん、書いたことがない私の「森のなかのふたり」ということでいただきました。ケモミミ難しいですね。どこまで獣くさくしていいものやら・・・。
 あと、あ〜るさんからいただいた「モテ仕草(完全な乗っかり記事参照)ぜんぶ」を上記の3本に散りばめていきたいと思います。今回は1件です。探してみてね(人´v`)*゚
 お二人ともリクエストありがとうございました!


【10 Things 〜 10】に頂いたコメントにお返事させていただいています。お心当たりの方は覗いてやってくださいね♪
 鍵コメくださったTaさま、食いつくとこじゃないと思いつつ森バニが更にうさぎ仮面をつけてるところを想像wwシューーーールッ!過去のことは・・・本編でもトラウマになってないのは森永くんがあの程度で止めに入れたからだと思うんですよね。おっとこれ以上は言えないぜ(l゚艸゚)ウッ 兄さんにトラウマを植え付けたい訳ではないんですが・・・
 Keさま、【強奪したのは〜】にもありがとうございます♪兄さんはオープンにしたつもりないでしょうけどねww森永くんは意外とバイト楽しんでくれたかもしれないです。兄さんのパンツにお札とは勇者ですねΣd(゚∀゚)私にも軽蔑の視線おすそ分けして下さいww続き物のほう遅くてすみません(汗)二年前も写真もちゃんと回収しますので〜(○´∀`)ノ゙




If winter comes…



 秋は最も密やかにやって来る季節だ。その訪れを報せる白い息も蕗の薹も雷もなく、気付けばすでに深まっている。はじめに色づいたのは何の葉か、紅葉自身にもわからないまま山は衣更えを済ませ、一年をかけて結んだ実りを獣たちに惜しげもなく振る舞った。
 クマもまた、それらを喜んで享受した。秋の豊かさが厳しい冬を乗り越えるための糧となる。特に冬眠する種であるクマにとって、この時期の支度がまさに生命に直結するものだ。ここ二年でそれが必ずしも当たらなくなったのは、非常に特殊な事例ではあるのだけれど。


「オオカミさん、こんにちは」
「よークマ、しっかり食ってるか?」
 洞穴にひょい、と顔を覗かせたオオカミが、クマの血色の良い頬に満足気に頷いた。いつの間にかクマが無事に冬籠りを終えるのを見守るのが、彼の群れの大事な行事となっている。
「木の実はともかく冬でも魚はいるから心配ないが、腹減らないのに越したことはないからな」
「ありがとうございます。たくさん食べたから俺、結構太りましたよ」
 にこにこと顎の下をつまんでみせるクマは、確かに少しふっくらしたようだ。去年の今頃にはガリガリに痩せていたことを思うと、自分の決断が正しいものだったと、少なくともオオカミ自身は悔いもなく言える。


 この冬を過ぎたら、オオカミは群れを出る。


 ボスであるオオカミが繁殖を避けて三年目だ。普通ではあり得ない、例外的な措置をこれ以上続けていられなかった。
 今年は彼の妹である雌狼がとうとう成熟したので、彼女に番いを見つけてやった。いけすかないが、信用できて群れを率いていける実力を持った相手を。出産を見届けたら、二人に最上位を譲って出奔する。
 一匹狼は他の群れに合流するか、新たに群れを作るのが当たり前だが、オオカミはもう同族と群れるつもりはなかった。それが出来ないことをもう知ってしまったから。生涯を共に過ごす伴侶が同族にはいないことを、もうわかってしまったから。

 クマにはとりあえず群れを出て、しばらくここで過ごすとしか言っていない。クマはそれでもこの上ないほど幸せそうな顔をした。
 一般的に狼は熊よりだいぶと寿命の短い生き物だ。クマがそれを知っているかはわからないが、オオカミは何事かない限りは自分が先に逝くだろうことを知っている。いつかクマが春に目覚めたとき、その傍らに自分はいない。クマがオオカミの真意を知ることはないかもしれないが、それでいい。


 定位置に胡座をかいて頭をバリバリ掻くオオカミをクマは嬉しそうに見つめ、ついで首を傾げた。オオカミはやたら身体のあちこちを掻き毟り、その度に銀の体毛が煌めきながら散っていく。
「オオカミさん、痒いの?何か変なもの触った?」
 体毛で守られていても、草木の汁などが飛んでかぶれることはあるし、皮膚病の可能性もある。オオカミはなんとなく毛並みも荒れていて、クマの不安を煽った。
「いや、換毛の時期なんだ。そのうち治まる」
「あぁ……そっか、良かった。そうか、俺より時期がちょっと早いんだ」
 ほっと胸を撫で下ろしながらも、クマは再び乱れた毛並みを見つめた。クマがそれを気にするのも変だが、ボスとしての体面的にもどうなのだろう。
「あの、毛繕いしてもらわないんですか?普通群れだとお互いにしあうんでしょ?」
 毛繕いは群れの秩序を保つためにも重要な行動だ。上下関係や親愛関係を確立、補強するためにも行われる。ボスなら当然、他の群れに対しても統制のとれているさまを示さなければならない。
「そうなんだがな。あれ、くすぐったいから嫌なんだよ」
 笑っちまうもん仕方ねーし、けど示しがつかんとか言われるし。ぶつくさ零すオオカミに、クマは悪いと思いつつ笑ってしまった。その光景が目に浮かぶようだ。彼の群れは本当に仲が良いし、オオカミはとりわけ下の者に優しいのだ。

「良かったら俺やってあげますよ。オレ相手なら思う存分くすぐったがっても構わないでしょ」
 クマは木の枝で作った櫛と、植物の繊維を乾かして束ねたブラシを取り出して見せた。こちらのほうが指や舌よりくすぐったさはマシかもしれない。
「またおまえ器用な……」
「俺は自分でするんで、背中とかこれがないと出来なくて」
 呆れたような感心したようなオオカミを後ろ向きに座らせ、クマはまずオオカミの括った髪をほどいた。櫛で大雑把に梳いただけでも、パラパラと毛が落ちていく。
「く……すぐってぇ」
「ダメですって、笑っちゃっていいから逃げないで」
 身悶えて前方に逃げようとするオオカミを捕まえ、落ちる毛が少なくなるまで櫛を使う。頭皮や首筋を触られるのが苦手らしいオオカミは、身をよじって時折り痙攣しつつも、大人しくクマの脚の間に収まっていた。おおよそ抜け毛を払ってからブラシで整えていくと、オオカミの呼吸も次第に落ち着いていく。身体は強張り、首の後ろは赤いままだったが。
(かわいいな……)
 黒っぽい夏毛と白っぽい冬毛。ところどころまだらになっていたのも美しい白銀に変わり、艶の流れる仕上がりに満足すると、クマは少し手触りを楽しんだ後もとの通りに髪を結わえた。

「ひあ!」
「わ!」
 次、とクマが尻尾を軽く握ると、オオカミは奇声を上げて飛び上がった。素早くクマの脚の間から飛び出して向き直った顔は真っ赤で、驚いて櫛を取り落としたクマは拾うのも忘れてそのまんまるに開いた瞳に見入った。
(もしかして、か、感じた……とか……?)
「あ、後はオレ自分でやるから。それ貸してくれ」
 クマが拾うより早く、地面から奪い取るように櫛を手にしたオオカミは、乱暴な手つきで自分の尻尾を整え始めた。動揺しているのかやけに急くので、何度ももつれに引っ掛けては舌打ちをする。
 もっと丁寧に優しくやってあげるのに、と残念な気持ちでそれを眺めながらクマは地面に落ちた銀毛を集め、布袋に入れた。しかしもうクマにはやらせてくれそうにない。

「それ、持って帰るから」
「え?」
 オオカミは使い終えた櫛とブラシをクマに返して寄越すと、空いた手を広げて抜け毛の入った布袋を催促した。思わず背後に隠したクマに、不審げに眉をひそめる。
「あの、俺あとやっときますよ。荷物になるでしょ」
「アホか、その辺に捨てていいもんじゃないんだぞ」
 獣の体毛には、特に分泌線に近い部分の毛にはもちろん体臭がついている。直接擦り付けるのと違って少々毛が落ちたくらいなら気にすることはないが、多量なら縄張りを主張していると誤解されることもあり得る。この場合きちんと巣に持ち帰って処分するほうが無難だろう。
「や、その……枕に入れようかなあって」
「はァ?!」
 クマは袋を後ろ手に握ったまま、もじもじと小声で言った。口に出すと自分でもちょっと恥ずかしい。オオカミがすっと身を引いたのも無理からぬことかもしれない。
「お前それ変態くせぇ……」
「あっ!違うんですそういうんじゃなくてーーーー!」
 クマは誤解されまいと必死だ。確かにオオカミの匂いが大好きでずっと嗅いでいたいほどだとか、嗅いでいるとちょっと興奮してしまうとか色々あるが、枕に入れたいのはそういう意味ではなくて。
「その、オオカミさんが春になったらここに来てくれるっていうの、すごく楽しみにしてるんですけど、夢みたいって言うか。寝てても怖くなって目が覚めちゃうことがあって……オオカミさんの匂いがすぐそばでしてたら安心して眠れるかなって……」

 夜中に目が覚めると、とてつもない不安に襲われることがある。自分のところにオオカミが来てくれるなんて、そんなことあるのだろうか。もしかして何もかもが夢で、目が覚めた今すべてを失ったのではないか。
 そんなときクマは洞穴中を這いずってオオカミの生身の痕跡を探すのだ。微かな匂い、銀のひと筋、自分は食べない生肉のかけら。月明かりの下で、時には暗闇の中で。

「ごめんなさい……気持ち悪いですよね……」
 クマが眉尻を下げて切なく笑うのを見て、オオカミは溜息をついた。どうもオオカミは、クマのこの顔に弱い。
「おい、ちょっと後ろ向け」
「はい……」
 オオカミはきっとクマが袋を手放さないのに業を煮やしたのだろう。そう思ったクマはしょんぼりと後ろを向いて、布袋を握った手の力を緩めた。

「おりゃ!」
 掛け声とともにオオカミが突然クマを羽交い締めにした。クマの広い背中にぐりぐりと身体を擦り付ける。
「わっ!わわ!オオカミさん?!」
 オオカミは度肝を抜かれて振り向こうとしたクマを今度は突然放し、ついでのように蹴倒した。クマがとっさに地面に手をついて振り仰ぐと、オオカミは銀の尻尾を翻して洞穴を出て行ってしまうところだった。
「マーキングだバーカ!」
 後ろ姿が見えたのも一瞬のことだったが、クマはオオカミが毛繕いとしていたときよりもっと赤く、耳を染めているのを目にすることができた。布袋はクマの手に残されたまま、それに背中にはオオカミの体温が残っている。

 クマは声もなく布袋を抱きしめ、しばらく悶絶した。嬉しくて嬉しくてその場を転がり、手足をばたつかせ、身体を丸めては仰け反る。袋に鼻を擦り付け、くちづけ、うっとりと見つめる。
「ああ、はやく冬がこないかな」
 冬は森に生きる動物たちにとって辛く厳しい季節だが、今のクマには溜息が出るほど待ち遠しい。秋は深まり、まもなく冬がやってくる。そうすれば、春はもう遠くないのだ。


 この冬を過ぎたら、オオカミは群れを出る。
 春と彼の訪れを待ちわびる、クマのもとへと。


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